チックやトゥレット症候群の原因って何なんでしょうか?

ひと昔前は、親のしつけや、過度な習い事などと考えられていたようですが、現在ではこれらは「きっかけ」にはなっても、直接の原因ではないことがわかっています。

だからと言って、厳しいしつけや過度な習い事を続けてもいいというわけではありません。

では、チックやトゥレット症候群の本当の原因は何でしょうか?

また、どうして運動チックや音声チックという形で症状が出るのでしょうか?

  • チックやトゥレット症候群の原因
  • 運動チックや音声チックといった症状が起こる原因

この2つの観点から「原因」についてまとめてみました。

チックやトゥレット症候群の原因は?

現在では、遺伝疾患と言われています。

遺伝と言っても背が高い低いと言ったレベルの遺伝であり、多因子遺伝と考えられています。

つまり、「体質」といった言葉がしっくりくるかもしれません。

脳の体質で親子で似た傾向があります。

ちなみに私(パパ)は幼いころチックはありませんでした。

体質に加えて環境・何らかの影響も考えられる

チックになりやすい遺伝的体質に加えて以下のような場合に、チックになることがあると考えられています。

  • 妊娠中に使用した薬
  • 出産時の状態(へその緒が首に巻きついた状態、黄疸、未熟児、帝王切開、長時間分娩)
  • コーヒーやアルコールの過剰摂取
  • 溶連菌感染 1)2)

ちなみにうちの息子は、出産時にNICUに入らなければならないほどの黄疸になってしまったので、もしかしたらそれも関係しているのかもしれません。

ここまでで、チックやトゥレット症候群の原因が遺伝的要素に加えて+αが考えられているということはお分りいただけたと思います。

では、なぜこのような場合に、チックなどの症状が起こってしまうのでしょうか?

次に運動チックや音声チックといった症状が起こる原因について見ていきましょう。

運動チックや音声チックといった症状が起こる原因は?

まず完全に原因は解明されているわけではありません。

本やネットには「ドーパミン」が原因となっていると書かれていますが、どういうことでしょうか?

まずこのドーパミンは何をする物質かと言いますと、脳の大脳基底核と呼ばれる場所で、神経と神経を繋ぐ役割を果たす「神経伝達物質」の一つです。

 

大脳基底核とは?

線条体・淡蒼球・黒質・視床下核という部位が含まれます。

運動の調節・認知機能・感情・動機づけや学習などさまざまな働きをしています。

 

チック症状が出る原因として、この神経と神経を繋ぐドーパミンのバランスが悪い点が考えられています。

ドーパミンのバランスが悪いため、大脳基底核の働きがうまく行かず、結果、運動の調節がうまく行かない=チックが出てしまうということです。

このようなドーパミンのバランスが悪いことが、原因ではないかと考えられるようになったのは、チックやトゥレット症候群に効果的であった薬から逆算的に推測されるようになりました。

つまり、
ドーパミン受容体阻害薬を使ったところ効果的であった
=ドーパミンの働きを抑えるのが効果的
=ドーパミンが過剰である(もしくは過感受性がある)のが原因なのではないか!

という流れです。

ただし、ドーパミン受容体阻害薬の他に、さまざまな薬も効果的であることがわかって来ており、ドーパミン系だけではなく、

  • セロトニン系
  • ノルアドレナリン系
  • ヒスタミン系

などさまざまな因子が複雑に関与していると推測されています。

チック症が起こる原因は完全には解明されていないということです。

まとめ

今回はチックの原因についてまとめました。

ポイントは以下の通りです。

  • チックは複雑な多因子遺伝と言われる「体質」に近いもの。
  • ただし、他にも出産時の状態、感染症など環境因子などが発症に関与していると言われる。
  • チック症状が出てしまうのはドーパミン系の調節がうまく行かないから。
  • ただし、単純なものではなく他にもさまざまな因子が関与しており、全貌は解明されていない。

以前は親の教育やしつけなどが原因だと言われたこともあったようですが、そうではありません。

ただし、完全に関係ないとも言えません。

症状が出てしまったことを悲観しても仕方ありません。(最初は誰でも悲観しますが。)

大事なのはその後のケアです。

 

参考書籍)
チックをする子にはわけがある
チックとトゥレット症候群がよくわかる本 1)P47,2)P52
トゥレット症候群の子どもの理解とケア