チックの症状は、同じ1日の間であっても変化します。

本人のこころの状態で良くなったり、悪化したりすることがあります。

親の気持ちとしては、周りの子供と同じように日常生活をきちんと送りながらも、可能ならば症状が出ない方向で環境作りをしたいものです。

というのも、一旦悪化すると、その悪化した状態を引っ張ることもありますし、私自身親として経験済みです。

とはいえ、過度な対策は、逆にその子の発達を妨げる行為になることがあります。

では、本人がどのような状態のときに良くなったり、悪化したりするのか、親としてはどのように対策していけばいいのか、についてまとめました。

チックの症状が目立たなくなるのはどんなとき?

症状が落ち着く傾向にあるのは、ズバリ、

  • 本人に「適度」な緊張があり、精神的に安定しているとき

です。

この「適度な」緊張がポイントであり、「強い・過度の」緊張があったり、逆に緊張が全くない状態だと症状は強くなることがあります。

自宅でリラックスしている状態を親は一番見ておりますので、

「幼稚園や小学校でもこの状態なのか」

と思ってしまいがちです。

しかし、実際は幼稚園や小学校では「適度な」緊張感があることが多いので、症状は目立たない傾向にあります。

ただし、幼稚園や小学校においてもこの緊張感が適度でなければ、症状は悪化することがあります。

  • 皆の前で発表をするとき
  • 日直や朝の会、終わりの会の司会をするとき
  • なんらかの発表会前・大会前・試験前
  • 新たな環境に変わるとき(進学、クラス替えなど)
  • 間違えると指摘され、負担が大きい場合
  • 宿題がたくさん出ているとき

などがこれに該当します。

「適度な緊張」と「過度な緊張」の境界は非常に難しいところであり、その子によっても異なります。

では次に、チックの症状が悪化するときはどんなときでしょうか?

チックの症状が悪化するのはどんなとき?

これまでの内容とかぶるところもありますが、症状が悪化するのは、ズバリ

  • 本人の緊張が増加していくとき
  • 本人の強い緊張が解けたとき

です。

緊張が強すぎても、逆に緊張感がなさすぎても、症状は悪化する傾向にあります。

ですので、幼稚園や小学校から帰ってきて、症状が強いからといって、それが直前の幼稚園や小学校での姿ではないということです。

むしろ親の顔を見て、リラックスすることで症状が強く出ているということですので、そこで親は悲観的になる必要もないのです。

また、症状が悪化する要因・原因として以下の状態が挙げられています。

  • 楽しいことで気持ちが高ぶったとき(興奮状態にあるとき)

これがまた厄介なところです。

具体的には、

  • ゲームをしているとき
  • テレビを見ているとき

楽しいことはどんどんさせたい、本人に楽しませたい、というのが親心ですが、これが過度になると症状は悪化することがあります。

本人にストレスを与えないために、好きなだけゲームをさせるのは逆に症状を悪化させることにも繋がりかねないということです。

ここのバランスは難しいところですね。

個人的には、何かに没頭して楽しんでいるならばそれを取り上げるのはどうかと思います。
何かに没頭したり、集中して遊んだりすることは、子どもの発達には欠かせないことだと思うからです。
むしろこの没頭こそが、のちのちの様々なシーンでの集中力や達成する力に結びつくと確信しています。

ただし、それがゲームやスマホとなると考えものだということですね。

そのほか、症状が悪化する要因・原因としては、

  • 食事をしているとき
  • 疲労が溜まっているとき
  • 睡眠不足のとき
  • 風邪をひいているとき

が報告されていますし、実際子供を見ていても実感しています。

食事をしているときに増えることがあるのは、どうしようもないのですが、疲労を溜めないように配慮することは親にもできることです。

チックの症状が悪化する季節は?

1年の中でもチックの症状は変動します。

とくに春や秋に症状は悪化する傾向にあります。

ともに季節の変動、アレルギーが増える時期、長期休暇明け、環境の変化・イベント(春は新たな環境、秋は運動会など)があるためと言われています。

最後に

 

どうしても目の前の症状が良くなったり悪くなったりで、親は一喜一憂してしまいがちです。(私自身がそうですから)

しかし、例えば自宅で症状が強いからといって、幼稚園や小学校でもそうであるとは限らず、むしろ「適度な」緊張の中では症状は減るケースが多いということを覚えておきましょう。

親ができることとすれば、

  • 家庭で不必要な緊張を本人に与えない(しかし悪いことをしたときにはきちんと叱る)
  • 過度な疲れを溜めさせない
  • ゲームやテレビはある程度は、時間を決めてさせる

ことが大事であると思います。

ただし何事も厳格である必要はなく、過度な対策(疲れを溜めないために、出かけさせない。テレビやゲームは一切禁止など。)は逆にその子の発達を阻害してしまいます。

他の子供と同じように育てれば良いのですが、チックを持つ子供は、優しく繊細な子が多いので、その点の配慮が必要だと考えられます。