運動チック及び音声チック両方が1年以上続く場合、トゥレット症候群と診断されます。

しかし、これはあくまで定義であり、トゥレットだからといって特別にチックと分類する意義も少ないように思われます。

さて、このトゥレット症候群ですが様々な治療方法があります。

治療法についてはこちらにまとめました→【徹底まとめ】チック・トゥレット症候群の治療法!

これらの治療によりトゥレット症候群は完治することがあるのか?ということを今回は取り上げたいと思います。

トゥレット症候群は「治療」により完治しない

トゥレット症候群は、ドーパミンなどの脳内の物質が関わる病気であり、その全容は解明されていません

そのため、

  • 症状を完全に抑えられる薬はない
  • 腫瘍のように摘出すれば良いという病気ではない

ということです。

つまり、現状では完治する病気ではありません

時に、薬などにより症状を抑えながら「付き合っていく病気」である。というのが現状正しい表現であります。

もちろん10歳代後半になると症状が消えていく人もたくさんいます。
ただし、小児期に薬などで完治するものではないということです。

根本的な治療はなく、あくまで症状を抑える対症療法であるということです。

つまり、クリニックなどのHPや貼り紙などに、

「当院では、チック・トゥレット症候群を完治させました」

などという記載があれば、誇大表現であると認識しなければなりません。

薬やその他民間療法(鍼灸療法、栄養療法など)により、一時的に症状を抑えることができたとしても、それは完治でも根治でもありません。

トゥレット症候群は、環境や、季節などにより症状にさまざまな浮き沈みを見せながら、一般的には10歳代前半に症状が最も強くなると言われています。

個人差が非常に強く、1年くらい全く症状が出なくなり、再び症状が出始めることもあります。

このことを認識して、症状に一喜一憂するのではなく、付き合っていく病気であるという認識を持つことが大事です。

必死な両親をカモにする施設もある?

とくに、鍼灸や栄養療法などの民間療法を行なっているクリニックや施設ではその傾向があるように思います。

藁をもすがる思いで必死に治療法を探す親御さんに

「うちでは完治する病気です。」
「完治させた実績が多数あります。」

と言われると「ここだ!!」と思ってしまいがちです。

そして、どれだけ高額な治療費でもそこにつぎ込んでしまうのです。

最後に

「この病気をなかったことにしたい。」
「なんとか完治させたい。」

わかります。

それは私も同じです。

しかし、残念ながらこの病気の全容は解明されておらず、完治する治療法は現状ありません。

症状を抑えながら、付き合っていく病気である。という認識を持つことで

「完治すると言われたのに、完治しない。」
「もっと高いコースにすれば完治するのでは」
「なぜうちの子供は完治しないの?」

と困惑することもなくなります。

肩の力を抜いて、長い目でいきましょう。